カメノテ
特徴
(写真:2022年8月上旬、高洲のテトラポッド帯で採集。長さ(高さ)約4cm。テトラポッドとテトラポッドの隙間に挟まるように付着していたので、引き剝がすのにはかなりの力を要した。目盛りは5mm)
レア度:★★★★★★★☆☆☆ 節足動物門 顎脚綱 Scalpelliformes ミョウガガイ科 学名:Pollicipes mitella 英名:Japanese goose barnacle よく見られる季節:?
普通は長さ(高さ)が3~5cmほどのものが多いが、最大で7cmに達することもある。カメノテと聞くと磯の岩などに付着しているのをイメージするが、なんと浦安にもいた。初発見は2019年7月上旬。高洲のテトラポッドの上を散歩していたら偶然発見。テトラポッドとテトラポッドの隙間に挟まるようにして付着しており、数はそんなに多くなくたま~に見つかるといった感じ。
そして写真の個体は2022年8月上旬に同じく高洲のテトラポッド帯で採集したもの。やはり数は多くないものの注意して探せばそれほどレアというわけでもなさそうだ。また境川を挟んで反対の、日の出のテトラポッド帯でも同じように付着しているのも発見した。
「カメノテ」の名前の通り、見た目が亀の手に似ていることからこの名が付いた。私は亀の手をじっくり見たことがないのでいまいちピンとこないが、装備したら攻撃力が高そうな見た目である。
岩肌や垂直護岸などに付着する姿から、カメノテは貝類のたぐいというイメージを抱かせるが、分類上はエビ、カニ、オキアミ、フジツボ、ミジンコなどと同じ「甲殻亜門」というグループに入る生物。
硬い殻の中には萬脚(まんきゃく)という、植物のようなムカデのような脚(6対の付属肢)が収納されており、これを伸ばし盛んに動かして水中のプランクトンなどを捕まえて食べる。そういえば「カメノテがいる場所はプランクトンが多いから魚がよく釣れる」なんて話を聞いたことがあったな。
ちなみに雌雄同体だが、基本的には他の個体と交尾を行うそうだ。
以下に、『改訂新版 世界大百科事典』の『カメノテ』の解説を引用させていただく。
『蔓脚(まんきやく)亜綱 ミョウガガイ科の小型甲殻類。本州以南の岩礁海岸の潮間帯の岩の割れ目などに固着、群生し、きわめてふつうに見られる。黄色い長三角形、指状にも見える殻をつけた掌に暗色の手首をつけた、一見亀の手のような形に見えるのでこの名がある。本州からマレー半島まで広く分布する。
体は3~4cmくらいの大きさのものが多く、頭状部と柄部に分かれている。頭部は扁平な三角形状、黄色、ときに黄褐色または黄緑色を帯びる。30~34枚の大小の長三角形状をした殻板で包まれている。
中央でいちばん背の高い背板、これと向きあう楯板(じゅんばん)、およびこれら二つの殻板の間にある上側板が細い間隙(かんげき)状の殻口を取り囲んでいる。頭状部と柄部の境目には小さな22枚くらいの下側板があり、周囲を取り囲んでいる。
柄部はほぼ円筒形、暗い紫褐色をし、表面は無数の鱗片によって覆われている。頭状部の殻板と柄部の鱗片の上端には殻頂があり、それを中心に下部に明りょうな成長線が刻まれている。
雌雄同体。ノープリウス幼生で孵化(ふか)し浮遊生活最後のキプリス幼生期の終りに、岩礁に付着し、変態して固着生活に入る。
潮が満ちてくると、殻の頂にある石灰板を開き、その間からつる脚を出して盛んに伸縮させ、海水とともにやってきた原生動物、小型甲殻類、藻類などの小型プランクトンをこし集め食べる。地方によっては食用とし、塩煮にして殻をとり内部の肉を食べたり、みそ汁のだしにしたりする。 執筆者:蒲生 重男』
(2020年2月)
(2024年1月)
採集する
(写真:2019年7月上旬、日の出のテトラポッド帯で発見。長さ約4cm。テトラポッドの隙間に挟まるように付着していた)
私は浦安では海に面した場所の、テトラポッドの隙間でしか発見したことがない。「ポツ……………ポツ……………」と見つかる感じで、数は少ない。
テトラポッドの隙間にガッチリと付着しているので、採集にはラジオペンチや金属製のヘラがあると良い。