スナビキモク

特徴

(写真:2020年2月上旬採集。長さ約50cm。これは藻体の上部1/3を切り取ったもので、藻体全体は1mぐらいの高さがある。スケールは15㎝定規)

レア度:★★☆☆☆ オクロ植物門 褐藻綱 ヒバマタ目 ホンダワラ科 学名:Sargassum ammophilum 英名:? よく見られる季節:夏以外(夏は枯れてほとんど見なくなる)

(同定にちょっと自信がありません。「タマハハキモク」の可能性もあります。他の資料も参照してください)

最大で2mに達するホンダワラ類の一種。名前が示す通り、砂をかぶるような岩礁帯に生えることが多い(たしかに採集した場所は常に波によって巻き上げられた砂がかぶるような場所だった)。

このスナビキモク、境川を挟んで高洲側のテトラポット下の敷石上にはたくさん生えているのに対し、日の出側の敷石にはほとんど(全く?)生えていない。おそらくこれは高洲側の敷石は大潮の干潮でも水没している(干上がらない)のに対し、日の出側の敷石は大潮の干潮時に完全に露出して干上がってしまうことが多々あることから、スナビキモクが生育できないのではと推測している。ただ日の出側にも少しぐらい生えていても良さそうな気もするが…。もしかしたらそれ以外に潮の流れや、濁り、栄養塩(例えば見明川からの栄養が流れて来てるとか)など複数の要因が関係しているのかもしれない。

スナビキモクのようなホンダワラ類がたくさん生えている場所を「ガラモ場」というが、ガラモ場は様々な生物の隠れ場所や産卵場所になったり、水中の窒素やリンなどの栄養を吸収して光合成を行い、水の浄化や酸素を供給する役割も果たしている。また海藻自体が巻貝や小型甲殻類や微生物のエサになり、さらにそれを捕食する魚類も集まってくるため、ガラモ場は沿岸生態系にとって非常に重要な要素の一つとなっている。

ガラモ場というには海藻の量や密度が少々足りないと思うが、それでも東京湾最奥の浦安にこのような環境があることに感動と嬉しさを感じた。

(2020年3月)

葉は倒被針型で、葉の縁辺にはノコ歯状のギザギザが見られる
幹の断面は三菱形でゆるく捻れている。少し太く直立する幹から、枝が交互に規則正しく伸びていている
枝の根元から先端近くまで気胞(藻体に付いている丸い風船のようなもの)が付いている。目盛りは1mm

気胞は風船のような丸い形をしている。中には頂点に突起がある気胞も見られた。目盛りは1mm

食べる

(写真:2020年2月上旬撮影。高洲のテトラポッド下の敷石に生えるスナビキモク)

スナビキモクと同じホンダワラ科の「アカモク」や「ジョロモク」などは地方で食べられているので、スナビキモクもいけるだろうと思い食べてみることにした。

葉の部分は異物や砂がたくさん付いていそうなので、幹の部分をよく洗って生で食べてみた。

食感は細いキャラブキのよう。噛むと程よい塩気と強い磯の旨みがしてくる。味の例えが難しいが、美味い。「ホンダワラ類の味」って感じだ(わかりませんよね)。食糧難になったら採集する生物リスト入りだなこれは。