フダラク

特徴

(写真:2020年3月中旬撮影。高さ20~40cm、幅5~15cm(1株の大きさ)。河口の暗渠の入口に密生していた)

レア度:★★★☆☆ 紅色植物門 真正紅藻綱 スギノリ目 ムカデノリ科 ムカデノリ属 学名:Grateloupia lanceolata 英名:? よく見られる季節:?(冬季~4月までは生えているのを確認)

(同定にちょっと自信がありません。他の資料も参照してください。間違っていたら教えていただけると嬉しいです)

最大で高さ60cmほどになるらしい。河口から少し上流にある暗渠(あんきょ)の入口の低潮線(干潮時に海面と陸地とが接する線。つまり干潮時に水面から露出するかしないかのギリギリの所)に固まって生えていた。不思議なことに、この場所だけに密生していて、周囲には生えていない。暗渠から流れ出る淡水が影響しているのだろうか?

(追記:2020年4月)この写真を撮影した後、高洲の海岸を散歩中、ふと海をのぞいてみたら、同じ種類と思われる海藻がテトラポッド下の敷石上に大量に生えているのを発見。先に書いたように、別の場所では暗渠の入口にのみ生えていたので淡水が影響しているかと思ったが、どうやらそれよりも水中の栄養素やその他の環境要因の方が、この海藻の成育には重要なのかもしれない。それにしてもやはり高洲側は海藻がよく茂っている…。

水の上から見ると、茎のない赤黒いワカメがユラユラしているといった感じ。藻体は全体が赤黒く(他に黄や緑色のタイプもあるらしい)、少し厚みのある膜状でしっかりとした感触で、水中から持ち上げても手にまとわりつかない。表面は滑らかで細かく波打っており、手触りはまさに革財布のよう。また手で引き裂くと、真っ直ぐキレイに切れる。

直径3~5mmの平たい円錐形の付着器で岩や護岸に付着し、付着器からは幅数ミリほどの短い茎が伸びる(下の写真参照)。葉の形は帯状や長楕円形をしており、葉全体が緩く波打っている。また葉の上部や中間で又状に分かれるものもある。葉の縁辺部は凹凸のない直線だったり、刃が欠けたノコギリのようにギザギザになっている場合もある(下の写真参照)。

葉の表面を顕微鏡で拡大すると、直径約0.2mmほどの赤茶色の点が、まばらに散らばっているのが見えた(下の写真参照)。

(2020年4月)

葉は帯状や長楕円形をしており、葉全体がゆるく波打っている
藻体下端の茎部。このサンプルは付着器がちぎれてしまっている。細く短い茎から一気に幅の広いの葉が生えているのがわかる。目盛りは1cm
付着器のしっかり残った個体も採集できた。付着器は直径3~5mmほどの平たい円錐形で、そこから幅数mmの短い茎が立ち上がる
付着器の底面。ほぼ円形をしている
葉の下部(茎より下がちぎれてしまった)
葉の上部。叉状に分かれているようにも見える
葉の表面は細かく波打っており、触るとまるで革のような手触りだ
葉の縁辺がノコギリ状にギザギザしている葉もあった

食べる

(写真:葉の一部を拡大してみる。葉の表面には赤茶色の小さな点がまばらに散らばっている。目盛りは0.5mm)

せっかくなので葉の一部をちぎって水でよく洗い、生のまま食べてみた。

コリコリ、サクサクとしており歯ごたえは良い。刺身のツマの中に入っている赤く薄い海藻(多分「トサカノリ」とかだと思う)を厚くしたような食感だ。噛み続けても、ヌメりやネバネバ感はほとんど出てこない。また味は薄く磯の風味もあまりしない。ワカメの味を5倍ぐらい薄くしたようで旨みが少ない。美味くも不味くもない。