ウミサボテンの一種①

特徴

(写真:2020年3月下旬採集。長さ約25cm。投げ釣りをしていたら、針に引っかかって揚がってきた)

レア度:★★★★★ 刺胞動物門 花虫綱 ウミエラ目 ウミサボテン科 学名:? 英名:? よく見られる季節:?

【この生物の解説動画はこちらから】

種類不明。2020年3月下旬に投げ釣りをしていたら、30mほど沖で針に引っかかって揚がってきた。

初めは「岩か何かに引っかかったか?」と思ったが、竿先から伝わる感じが岩など硬いものではなさそうだったので、思い切って釣糸を引っ張ってみると「ズボッ」という何かが抜けるような感触がしてから、コイツが姿を現した。ちなみにその場所の海底は細かい砂地。

その見た目から、ウミサボテンの何かということはすぐわかったのだが、なんという種類なのかは調べても分からない(後にウミサボテン類の中の「ウミサボテン」だろうという結論に行きつきました)。何とも不気味でグロテスクな見た目の生物である。世の男性諸君はもれなくアレを想像しただろう。

私はいつも浅い場所でしか生物採集をしないので、ウミサボテン類を見るのはこの時が初めてだった。もしかしたら少し沖には、このようなウミサボテン類がたくさんいるのかもしれない。

『ウミサボテン』とは『世界百科事典 第2版』によると(※以下はウミサボテン類の中の「ウミサボテン」の解説です)、

『花虫綱 ウミサボテン科の腔腸動物(刺胞動物)。石狩湾以南の諸海域に広く分布し、内湾の水深20mくらいまでの砂泥質の海底にすむ。灰白色から淡肉色の棍棒状の群体をつくり、よくのびると長さ50cmにもなる。

体の表面から伸縮自在の大きなポリプと伸縮性のない小さいポリプが多数でる。大きなポリプは栄養をとったり、生殖を行い、小さいポリプは海水を体内にとり入れて体液を調節している。体内には石灰質の小さい骨片が無数に散らばっている。』だそうだ。

分類的にはイソギンチャクやサンゴと同じ花虫綱に分類される生物のようだ。写真のウミサボテンの一種は、体の表面にあるポリプを縮めて収納している状態で、夜間になると小さな花のようなポリプを体中から伸ばし、その姿はまるでサボテンのようになるらしい。また発光する生物としても知られ、刺激を与えると強く発光し、夜間に林立したウミサボテンが、波の刺激で発光する様子は壮観らしい(う~ん是非見てみたい)。

(追記:2021年6月3日)2021年3月下旬に行われた「浦安市三番瀬環境観察館」の生物調査にて、同じ種類と思われるウミサボテン類を採集した(下の写真参照)。その時は三番瀬の200mほど沖を歩いていたら、砂から抜けた状態で海底に転がっていた。弱っていたのだろうか?

(2021年6月)

先端部。肌色の盛り上がったイボと、褐色の丸い穴のようなものが多数見られる。これらにポリプが収納されているのだろうか?
中間部。先端部に比べて表面は滑らかで、太い凹んだ縦筋が数本見られる
下部。写真中央のくびれた部分より下側が、砂に埋まっていたのだろう
下端部。この部分が砂に埋まって、直立していたのだろう。先端~中間部にあった、褐色の斑点模様は見られない
下部先端。表面が非常に滑らかで、貝類の足のような見た目だ
2021年3月下旬に行われた「浦安市三番瀬環境観察館」の生物調査にて採集。長さ約20cm。三番瀬の200mほど沖を歩いていたら、砂から抜けた状態で海底に転がっていた。弱っていたのだろうか?
採集してから海水に入れてしばらくすると、体の下の方から、まるで花のような形状のポリプを伸ばし始めた。この個体は体の下半分からしかポリプを伸ばさなかったが、全身からこれが伸びた姿を想像すると、「ウミサボテン」という名前が付くのも納得できる